夕暮れが早くなり、朝夕はちょっとだけ涼しく感じるようになりました。
明日から9月ということで今日はカレンダーを念入りに見たせいで単にプラシーボ効果かもしれません
職場は、わたしの居住地より、さらに未開拓の地にあります。
会社の建屋の周囲四方を見渡しても、雑木林とか、雑草とか、野原とか、何も植えられてない畑とか、ただの地面とか、田舎もここに極まれりといった土地です。
そんなわけで、村人の1人も歩いてやしません。
窓から外を見ても、何の動くものもありません。ただ配達の車が行きかうのみ。ある意味、監獄みたいなところです。こんなところで、わたしは毎日働いています。
今日も今日とて仕事はヒマであり、夕方、外にゴミ捨てに出ました。
するとこの暑い日中、1匹の元気なワンちゃんが、道路を爆走しています。
これは、幻でもなんでもなくて、近くの集落の人が、軽トラック(!)で犬を散歩させているのです。たまーに、見かけるのです。
犬、猫は放し飼い禁止、必ずつなぐかケージや柵の中、屋内で飼いましょう、とは、よく聞く言葉です。しかし、このあたりでは、わりと見かける光景です。これって、田舎あるあるなんでしょうか。
このワンちゃん、とても元気で人懐っこいようで、たまに職場の敷地内に乱入してくるのです。
可愛らしい、耳の垂れた雑種犬です。人がいると、しっぽフリフリ、大喜びで近寄ってきます。
一緒にゴミ捨てに来た同僚も、いつも見かけると、「あらー!可愛い!」「おいでおいで!」と歓迎ムードです。何しろ動くものが他にいないので、ただのワンころでも面白いのです。
ところが屋内に戻って後、この可愛い騒ぎを、他の部署の女(いつもの嫌なやつ)が聞きつけました。
このオンナは、わたし達より、職位が上なんですよね。
可愛い犬がいた、という、ただの世間話として聞き流せばいいのに、
「えっ、その犬中まで入って来てるんでしょ」
「そんなの、普通に駄目じゃん」
「飼い主は一緒にいるんでしょ?」
「軽トラ?何それ」
と、ことごとく駄目出ししました。
聞かれた同僚も、こんな展開になるとは思わず、ただの面白い話題として話しただけなのに。
別に、仕事に何の差支えもないのに。いちいち大げさに取り上げなくてもよいものを。
というわけで、このオンナは、町役場的なところに電話してしまいました。
犬を放して散歩させている人がいる、犬は会社の敷地に入り込んでいる、飼い主は車に乗っていて犬をつないでいない、などなどです。
こんな、人っこ1人歩いてないところだからこそ、飼い主さんもそうやって散歩させていたのでしょう。他人がいれば、ちゃんとリードをつけたのではないでしょうか。
それとも、やはりここらでは、このスタイルがデフォルトなんでしょうか。
世の中、わたしのように、動物好きの人間だけではないでしょうから、世間一般には迷惑の部類に入ってしまうのかもしれません。
何にしても、たまのささやかな楽しみだったのに、それがなくなってしまいました。皆、がっかりです。クソー。