あおり運転って、本当にあるんですね。
ニュースで見聞きはしていました。経験したことある人の話しも聞いたことがあります。
でも、どこかで他人事でした。まさか、自分がこんな目に遭うなんて、想像していませんでした。
だって、そうなった原因が、皆目わかりません。
わたしは、どちらかというと、自分がうっかりあおってしまわないよう注意するくらい、車のスピードを上げて走るタイプなのです。
この辺の県道なんて、80Km出して走る車は普通です。こんなことを言うとひんしゅくを買いそうですが、ノロノロ運転の車は追い越してしまいます。
事件は、通勤途中で起こりました。
いつものように、いつもの田舎の県道を走っていたところ、いつの間にか後ろの中型トラックが、ケツにぴったりついているではありませんか。
え、いつの間に?と思って、慌ててスピードを確認したところ、70Km/h以上のスピードは出ています。わたしの前には車もいて、そんなに車間距離があいているわけでもありません。
運悪く、前にいた車は、途中で曲がってしまいました。なので、仕方なくスピードを上げたのです。
走っていたところは、右に左にくねくね曲がっている道で、左右に一時停止できるような道路幅がありません。できれば、空地のようなところに停車して、やり過ごしたかったのですが、しばらく先まで行かないとないのは分かっていました。
後ろからあおってきているのは、明らかでした。
運転手と助手席に、中年の男性が座っています。
そして、2人ともニヤニヤ笑っているのです。談笑していて、うっかり車間距離が詰まってしまったのかとも思いました。でもその考えは、秒で消えました。
運転している側からすると、いつぶつかってもおかしくない車間距離です。
え!え!え!と、自然に声が出てしまいます。車が退避できる場所まで、どのくらい走ったでしょうか。時間にすれば、そんなに長くなかったのだと思います。
でも、車を停車させたときは、頭がかーっと熱くなって、全身がしびれるような緊張感でした。そのトラックは、そのまま走り去りました。
まるで傷ついて弱っている獲物を、なぶり殺しにかかっている猟犬のような気配を感じました。
明らかに遊んでいました。人の命をおもちゃ代わりにして、遊んでいました。
職場についてこのことを話すと、わたしの車はドライブレコーダーを前にも後ろにも装着しているので、今からでも通報したらよいと上司が勧めてくれました。
わたしも一瞬考えました。でも、その場でレコーダーの記録を確認する手間もあり、すぐ取りかからねばならない仕事もありで、結局そのままにしてしまいました。
帰宅して、SDカードをPCで確認しようとしたところ、強烈な恐怖感が襲ってきました。
怖くて、まともに見れないのです。
あの時の、あおられた恐ろしい時間が再現されそうで、とても見れないのです。結局、これは子供に見てもらいました。
ナンバーは地元で、運転手の顔もはっきり映りこんでいました。運転手の口角は、やはり上がっていました。見間違いではなかったのです。恐ろしい人間が、普通に運転しているという事実にぞっとしました。
長くなるので、明日に続きます。