夫の父親が亡くなった時の話しです。
夫は、早朝にその連絡を受けました。
義父は入院していたので、その早朝の電話が鳴るのを聞いたとき、もしや、と思いました。わたしはまだ寝ていたのですが、起きていくと、夫がいません。
仕事に出かけて行ってしまったのです。
わたしは、呆れました。もう亡くなってしまい、いくら間に合わなかったとはいえ、これから山のようにやることがあるはずです。仕事?行く必要ある?
そうこうしているうち、あちこちの親戚から電話がどんどんかかってきます。そして、当然ながら、何時ごろこっちに来るの?と聞いてきます。新幹線に乗れば当日中には行ける距離ですが、なにしろ当の夫が仕事にいってしまい、いつ帰ってくるのかも言い残していきませんでした。
仕方なく、仕事先に連絡し、今朝父親が亡くなったことを告げ、夫に帰ってくるよう言ってもらいました。職場の方は、普通に出勤されてますと驚いている様子でした。
夫曰く、急に休むのは代替えの人もいないし、迷惑をかけるから、と言うのです。呆れ果てて、もう何も言葉が出ませんでした。
自分の親が亡くなって、仕事を休むのにそんな気遣いをする人間がいますか?
あなたは自分の会社が倒産する寸前の社長さんですか?ブラック企業の猛烈社員ですか?ただのブルーカラーのバイトですよね?なんでそんな気遣いするんですか?とにかく、異常に過ぎます。
郷里に帰れば夫は、昔ながらの、出来の良い、本家の惣領息子の扱いです。誰もその異常さに気づく人はいません。異常といっても、家族以外の誰にも迷惑のかからないものだから。もし、気づく人がいたとしても、誰も何も言いません。他人の家のことですもんね。
別に、暴力を振るうわけでもないし、暴言を吐くわけでもありません。借金だのなんだのという迷惑行為もありません。普通に周囲の人から見れば、まったく気づかれることはないでしょうね。
夫の実家は、無人になりました。夫はいずれここに戻りたいと、昔は言ってはいました。わたしの意見など、一言も聞かずに。
今、わたしが駄目だと命ずれば、おとなしく従うと思います。元々、誰かの命令に従うのが楽なようです。そして何かあれば、お前が言ったから、と人のせいにしてきます。自分も一緒に解決策を考えようなどとは思いもよらないのだと思います。
子供がいよいよ独立して、さあこれからどうする、なんて欠片も考えていないと思います。明日も、明後日も、ずっと同じ日が続いていくのだと勘違いしているに違いありません。