この土日のことです。
雨が降ってきそうなのを気にしながら、買い物中、町の量販店の駐車場を歩いていました。すると、ずっと以前にパートをしていたころの知人に、ばったり出くわしました。
↓このころ
何気なく、前方から来た人を見ると、その人もこちらを見ています。
「・・・・・!!」→まさにこんな感じ。お互い、ほぼ同時に気がつきました。
あのパート時代から、もう15年以上経っています。当時は、さんざんお世話になったものです。
そのころ、わたしは30代。彼女は、50代だったでしょうか。振り返れば、今のわたしの年齢くらいだったかもしれません。
当時は、ご主人が病気で倒れ、成人したばかりの息子さんとともに、家業を引き継いでいました。
夜勤で仕事をして、帰ったらご主人の世話、そのあと自宅とはいえ仕事。一体、いつ寝ているの?!と、同僚からもよく言われていたものです。
立ち話もなんだから、すぐそこのファミレスでも行きますか?とお誘いしました。しかし彼女は、歩道のベンチにすわり、ここでいいいですよ、と言います。
時間がないのかもしれない、と思い、少し寒いとは思いましたが、座りました。
聞くと、かのパートをしていたころ療養中だったご主人は、亡くなったそうです。家業は、コロナもあり立ち行かなくなり、廃業。息子さんは、都内に出て就職。
では、今はお1人ですか?と尋ねると、昨年癌の手術をしたばかりと言うのです。それで、今は仕事も出来なくなり、家で療養中なのだとか。
それは辛いことです。しかし、彼女にはお子さんもいらっしゃいます。
「でもねぇ。あんまり迷惑をかけたくないのよ」
「子供がいてくれて安心、というよりも、いかに迷惑をかけないようにするかを考えてるの」
どこの親も同じですよね、とわたしは言いました。
「仕事ができないので、収入が全くなくなってしまった。貯金もなくなる一方、この先どうしようかと悩んでいるの」と彼女は言いました。
それは、中々重い話です。
年金はどのくらい?、とか、貯金はどのくらい?、とか、治療費の話しとか。当時はそこそこ親しかったし、聞いてみようかとも思いましたが、やはり他人が聞けることではないです。
そしてこの古い知人が、お金がなくて困ってる、と、わたしに言わなかったら。年金や収入は少ないながらも、何とかやってるのよ、と答えてくれたら。
わたしは、将来の参考にしたいから教えて下さい、と甘えてみたかったです。この年齢の友人知人は、いません。当時みたいに、お茶を飲みながら、色々話しを聞いてみたかったです。
でも、ぐっとこらえました。ここは、聞き役に徹しよう、ととっさに決断しました。
何かわたしに出来ることはありますか、とも言いました。でも、彼女は当たり障りのない話をして、結局、「じゃあね」とだけ言って、別れました。
ベンチに座ってのおしゃべりは、とても寒かったです。わたしが誘ったのだから、多少強引にでも店に引っ張っていって、珈琲の1つもおごれば良かった。今になって、反省しています。